印、漢字の話

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印の話

印象の歴史

約5,000年前~

印章の歴史はとても古く、今から約5,000年前のメソポタミアで既に用いられていました。中国では、周代の頃といわれています。メソポタミアでは、印の呪術力によって開封を禁忌する封印、として個人の「信」や「所有」を表しました。

印象の歴史 約5,000年前~
印象の歴史 約5,000年前~

約2,300年前~

印象の歴史 約2,300年前~

今では紙に朱肉で印を捺すという形ですが、それはずっと後の時代です。中国では、周(春秋、戦国)時代から印が使われています。戦国時代は社会体制に大きな変動があり、流通経済が盛んになるとともに商工業が発達し、それにともない権利と義務を表す、所有標章としての印章が重要な役割を果たすことになりました。
泰代になると始皇帝により全国統一となり、権力の行使と、権威の象徴として制度が改革されました。文字(小篆)や貨幣、度量衡(はかり)の統一の他、身分を表す象徴として印の制度も制定されました。

約2,000年前~

印象の歴史 約2,000年前~

漢代には、官職制度が整い、印の制度も一層整備されたものになり、それにともない印の政策も精緻を極め、また、封泥の全盛期でもありました。その後、後漢に発明された紙が次第に普及し、南北朝時代から紙に朱で印を捺す方法に変化していきます。

日本には、隋、唐時代に遣隋(唐)使により伝わったものが源流となります。唐代には、収蔵印、堂号印など書画とともに発展し、宋、元代になり民間の私印、花押印が発生しました。

約1,300年前~

元代、花乳石(刻しやすい石材)に王元章が自ら印を刻し、明代には青田石、寿山石と新しい印材の発見が相次ぎ、文三橋をはじめ文人の多くが自ら秦刀し、篆刻芸術として花開いたのです。

明清代になると印人が中心となり、詩、書、画、篆刻が文人必修の教養として重視されるほどになりました。日本で印が制度化されたのは701年大宝律令が整うに従って公文書に公印が用いられるようになりました。

印象の歴史 約1,300年前~
印象の歴史 約1,300年前~

印相の効力

魏志夏候尚伝注引魏氏春秋に印相について書かれています。それによると相印書、相印経は漢代からあり、その鑑定法は多数の流派が有ったようです。
相印書も百十二家の相法があったくらいですから、この類の書も多く書かれたのでしょうがほとんど現代には伝存していません。尚、良く印相鑑定に引用されている江戸時代の版本「印判秘訣書」は、印相の書でなく、花押の作り方を説いたものです。

また陸游の老学菴筆記に米元章は形、法ばかりに目が行き本質を失い、文字の正しからざるものは、凶相であるとし、放翁はこのようなことに拘泥することは、愚であるとしてます。印相とは、印の姿であり、それは今して現れる印影について見るべきもので、材質形状には拘わってません。印相は雅俗良否はあっても、吉凶休咎はありません。文字雅正にして品格格調の有するものは印相が良く、文字背戻し粗野卑俗なる物は良くないと、書かれています。

それでは、「全く効力が無いのですか?」いいえ、実際に効力は存在します。それは、印相体なる近年に作られた俗な文字でなく真の印章は、字法、書法、章法、刻法に通じ、刻者が心を込めて刻した美しい印章にこそ気韻が宿り、吉祥に通ずるのです。

その様に心刻された印章は、押捺する誇りと喜び、満足感を感じる。「信」を顕わす印を大切に扱い、そして、印に負けないよう使用者本人が精進することが禍を避け吉祥を呼び込むことになります。そうした日々の積み重ねが吉祥の「喜」を累積することになり、

この印章が「招福招財」の宝器となるのです。

中国文字芸術の骨格

中国文字芸術の骨格
※篆書(小篆)は、秦公(青銅器)や石鼓(最古の刻石 大篆)を骨格に持ち、始皇帝の命により李斯により集合整理された文字です。当時の資料としては、山、泰山、瑯邪台刻石などがあります。また、碑や度量、璽印などにも残されています。

文字の歴史

漢字の創造

漢字の創造については、多くの伝説があります。その中のひとつが、神農氏という王が「結縄(けつじょう)」という方法を用いて文字の代わりにしていたと言われています。真実は判らないですが、ペルーに残っている方法を考えると、結び方や色で意志を伝えたのでしょう。また、皇帝の臣・蒼龍頭が、鳥や獣の足跡を見て、「書契」(鳥足文字)をつくったと言われていますが、あくまで伝説上のことです。一般に漢字の起源は、股代の「甲骨文字」です。それ以前の新石器時代の遺跡(西安の半城、山東省の大泣口、河北省の台西村など)から出土した陶片には文字に似た記号、図象は発見されていますが、文字としての法則や体系は形成されておりません。

甲骨文は、亀の甲羅や獣骨の肩肝骨などに占トの結果を刻された文字です。この骨片の発見当初は、何か怪しげな図象のある骨ということで、「龍骨」といわれ熱病の特効薬として売られていました。清代末期、王塾栄がこの骨片の文字に気づき収集し始めました。その後、劉響が自分の集めたものと合わせ「鉄雲蔵亀」を出版しました。これが、甲骨文研究の始まりです。その後、羅振玉、王国維らは、甲骨文の出土地が河南省安陽県小屯の股墟であることをつきとめました。1928年から輩作資を中心に組織的な発掘が開始され、研究発表がなされました。甲骨文は書丹してから刻されたようですが、書刻一系の香りが強く、もともとの「書く」とは、自ら指で砂浜に絵や文字を書いたり、石器や棒で引播いたり刻み付けるという行為がその原点でした、書刻一体の美を感じさせる素晴らしいものです。また、刻んだ文字に朱を埋め込んだものもあり、これは、朱には悪霊を追い払う呪術的効果から王の判断でさらに神聖化されたものであろうと思われます。

漢字の創造
漢字の創造
漢字の創造
漢字の創造
漢字の創造

金文 前編

中国の青銅器時代は股(商)代末期から周代にかけてが最盛期です。その青銅器に記されてる文字を「金文」と言います。基本的には、紙以外に記されてる文字のことを金文と言い、青銅器のほとんどは、祖霊の祭祀に使用する「祭器」でした。祭器には、礼器、食器、酒器など多種多様の器があり、これらを総称して「鐘購葬器」とも言います。金文は器の内側に記されており、民族の統率者を称えるものや祖先を祀る氏族標章の類の文字が綴られています。文字は、権力者、特権階級のものであるので、荘重かつ尊厳な金文の筆書体で書かれています。西周の金文は、股の金文の特徴(図1)を受継ぎ、雄大で力強く、威厳があります。文字には大小、線質に悲疲の変化があります。代表的なものに「大蓋購」(図2)「毛公購」(図3)があります。
西周中期には、名器が少なく、文字も軽忍で刀鋒が露出して重厚さがありません。文字の大きさが字形が整い、線も細くなり形式化していく傾向があり、代表的なものに「宗周鐘」(図4)などがあります。西周後期には「史領殴」(図5)をはじめ、名作が続出しました。種類はほとんどが史官の恩賞によるもので、銘文内容も策命(王が官職や土地などド賜する辞令)の儀礼的なものです。

金文 前編
金文 前編
金文 前編
金文 前編
金文 前編

金文 後編

東周の青銅器は、警養文などの文様はなくなり、簡単な幾何学的文様や波状、帯状文や魚鳥や植物などのデザインに変わっていった。形も祭器風の造形から実利的な日服御の器物へとなっていきました。東周時代は、各国の分裂にともない、形態も金文もさまざまな特徴をもっています。おおむねの文字の特徴は、細く、長いものが多いです。陳夢家により、西士系、東土系、南士系、中土系、北土系と五つの系統に分類されています。西土系である秦と晋は、西周以来の綿密さが強く残っています。「秦公闘」(図6)など石鼓文に似、小纂の基本的な筆法が備わっています。

是に対して斉、魯の東土系の金文は、「斉氏中姿鋳」のように細身の線質で長脚の金文が特徴です。南土系は、楚を中心とする呉、越で自然条件、資源に恵まれ自由で装飾性に富んだ華麗な文化をつくりました。荘厳で重厚な黄河流域とは違っています。南土系の金文は、旧来の書風のものは少なく、「越王勾践の剣」は、長脚の文字のように、また、鳥虫などの様に装飾化された銘文が目立ちます。「楚王倉志期牌」(図7)は、肉筆の筆書の筆致で穏やかな結体と線質に小筆に近い意匠を感じます。中土系に属する国は、宋、衛、陳、祭、嘉で常に秦や禁の侵略に悩まされており金文にもその影響が感じられます。蒸、趙を含む北土系の中には、中山国王の「愛龍文飾刻銘方壺」(図8)の銘文があるこれは、中土系の華候盤のような縦長の体をとって字形も整正で美しい纂書です。

金文 後編
金文 後編
金文 後編

漢字のはなし

字は、一文字、一文字に意味があるものです。
象形の形や意味が色濃く残っている文字は、漢字だけです。
印章は、その漢字を使います。ですので、私たちは文字の成り立ちについて知っておかなければなりません。

漢字の成り立ち

世界には多くの言葉がありますが、文字の種類はそう多くありません。元を辿れば古代エジプトのエジプト文字、バビロニアのくさび形文字、マヤの神聖文字、中国の漢字など、数えるくらいしかありません。これらは元はどれも絵文字でしたが、次第に元の絵の形から変わり今の文字の形へと変化していきました。

たとえばローマ字は、エジプト文字から変化してつくられました。日本のひらがなも漢字の草書(くずした文字)からつくられました。その中で漢字だけが、元の姿をかなり残している珍しい文字なのです。漢字の元は、実際の物をかたどった(象形)もので、目に見えない物(概念的なもの)(上、下など)は、物の上にマークをつけて表現しました。今ある漢字は、これらを組み合わせてできたものです。

そんな文字ですから、漢字のへんやかんむり、つくりなど、すべてに意味があります。印章(はんこ)をつくるためには、文字のことを知らなければ、違う意味の文字になってしまうことがあります。
そのために文字のなりたちからしっかり勉強する必要があるのです。

漢字の成り立ち

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